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2018.07.18

【Column】ものがたりのある、ものづくり。Vol.1

ジャンルの異なるメーカーが同じかたちの製品づくりをし、販売スペースやパッケージ、イベント開催など、多様なシェアを通してブランドを育てていくプロジェクトが「双円」です。
それぞれのメーカーはどのような思いで参加し、育てているのか――「双円」のものがたりの背景にある、ものづくりにかける想いを伺います。今回ご紹介するのは、ブランド誕生のきっかけとなった「能作」の代表・能作克治(のうさくかつじ)氏です。

「双円」ブランド発表会にて。能作克治氏(左)と鈴木健(右)

「錫を使って何かつくってみたら?」

2016年夏、ニューヨーク。

能作の代表・能作克治(のうさくかつじ)と、アエテの代表・鈴木健(すずきけん)は、ギフト関連の見本市「NY NOW」にいました。

能作といえば、錫100%のテーブルウエアで世界中にファンを持つ、日本を代表する鋳物ブランドのひとつ。一方、鈴木は海外展開も行う家電ブランドcado(カドー)のプロダクトデザインを手掛けており、NY NOWのジャパンパビリオンに、それぞれのブランドが出展していました。

実は、鈴木は能作の錫製品の大ファン。さらに、当時、鈴木自身が全国の伝統工芸の産地を見学して回っており、能作のブランディングや製品づくりにも非常に感銘を受けていたところでした。

そんな折に、能作氏と会場で挨拶できたたことで、「工場見学をさせてください!」と申し出ると、「うちはいつでも歓迎ですよ。どうせなら錫を使って何かつくってみたら?」と能作氏は快諾。

この一言が双円誕生のきっかけとなりました。

「こんな器があったらきれいだな」

帰国後、すぐにデザインを起こし、1か月後には能作の本社工場で能作氏に提案。家電のデザインを得意とする鈴木にとっては、錫を使ったプロダクトは新たな領域でした。さらに、クライアントからの依頼に合わせるのではなく、自由な発想でのアプローチは、大きな挑戦でもありました。

「こういう形があったらいいな。きれいだな」。

最終的に鈴木が導き出したデザインは、彼自身が純粋に美しいと思い、心惹かれる「かたち」。それが双円ならではの、ふたつの円が重なったかたちです。

コンセプトや価格、事業性などを起点とするのではなく、日本で生まれ育ち、日本のプロダクトデザインを手掛けてきた鈴木が、ただ美しいかたちを追求した結果、生まれたのが「双円」でした。

 

能作の自社製品は社長自身がデザイン

「能作」は分業制の鋳物づくりにおいて、もともとは“生地屋”としてその一端を担っていましたが、「自分たちの技術がどこまで通用するか挑戦したい」と、能作氏自らがデザインをして錫100%の商品を制作。これがオリジナル商品のきっかけとなりました。さらに、能作氏は元・新聞社勤務のカメラマンで、結婚を機に職人としての歩みをスタートしています。

そんな異色のキャリアと、常に進化を求める能作氏だからこそ、これまでになかった「双円」というブランドの在り方にも共感し、試作品を見た時には「このかたちはかわいい!」「このグリップ感がいいね」と共に楽しみながら、ブランドの骨子づくりが進んでいったのだと思います。

こうして打合せを重ねる中で、大きさや種類の違いに加えて、素材の違いも加わると、さらに広がりが生まれることに気づき、ガラスのSghr、磁器のNAGAEが仲間入り。同じかたちで素材違いという、現在の双円の在り方へと発展していきました。

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能作MEMO

■能作の工場見学者は年間10万以上!

鈴木と能作氏が打合せを重ねた、「能作」の本社工場は、産業の観光化を目指し2017年4月にリニューアル。熱や音もまるごと体感できる“魅せる”工場です。能作の製品をひとつひとつ手作業で作り出す様子を臨場感たっぷりに楽しむことができ、鈴木も初めて訪れた時はそのインタラクティブなスタイルに感激!

月間1万人が見学に訪れ、早くも山県の人気観光スポットとしての地位を築いています。

■県外からの応募も多く若手職人も活躍

工場で働く職人さんは現在40人前後。工場の平均年齢は30代前半と、若手の職人さんが生き生きと働いているのが印象的です。県外からの応募も多く、工場見学に訪れたことがきっかけで就職した方もいるそう。もちろん、双円の皿や酒器などもすべてこの工場で作られています。

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能作製品ラインアップ

 

おちょこ
タンブラー
ビアカップ

 

片口(1合)
片口(2合)

 

豆皿
小皿
平皿(小)

 

平皿(中)

 

平皿(大)