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2018.08.22

【Column】双円のある、おいしい風景。vol.2

Vol.2 料理家・いづい さちこさん

双円の器を実際にお使いいただいている食のプロの皆さんに、双円の楽しみ方や食に対するこだわりを伺います。今回は、料理家のいづいさちこさんです。懐石料理やオーガニックレストランでの料理人の経歴を経て、現在は東京・国立のご自宅で、3児のお子様を育てながら料理教室「くにたちの食卓 いづい」を主宰。レシピ本もいくつも出版されています。料理人と主婦、両方の経験があるからこそ生み出される「料理」に込めた思いを聞きました。

皆の予想を超える「おいしいサプライズ」を届けたい

―料理教室を開く前はどんなお仕事をされていたんですか?

料理人としてオーガニックレストランで働いていました。その後懐石料理店でも働いていたんですが、たまたま両方とも料理教室も開いていたので、お店の仕込みや調理もしながら、教室のアシスタントもしていて。そのうち教室のほうが私にはおもしろくて、もっと突き詰めたいという気持ちが大きくなっていきました。

―どういうところにおもしろさを感じられたんですか?

料理に込めたメッセージを伝えられるところです。お客様にお料理を出す時にももちろん伝えられるんですが、「作る目線」と「食べる目線」ってちょっと違うので、語りすぎると少し恩着せがましいような部分も出てきちゃうんですよね。料理教室なら、私も生徒さんも同じ「作る目線」に立っていますし、レシピには書かれていないメッセージを知りたくて来て下さる方が多いので、重くならずにコミュニケーションが取れることにやりがいを感じました。

―同じ目線というのは納得です。教室の様子を拝見していても、会話が飛び交っていて先生が一方的に教えるという感じがしませんでした。

そこは大切にしている部分です。生徒さんからのリクエストでメニューやテーマが決まることも多いんですよ。今日のレッスンで作ったずんだ豆のティラミスもそうで、ずんだもちが大好きな生徒さんから「ずんだ豆を使ったレシピを知りたい!」という声に応えて生まれたデザートです。

 

―イタリアンにずんだ豆という意外な組み合わせにびっくりしました。

「わー!」と歓声があがると「よし!」って内心ガッツポーズしています(笑)。ただリクエストに応えるんじゃなくて、いい意味で予想を裏切るような、おいしいサプライズを届けたいなと思っています。

あと、和食の専門学校からはじまって、懐石料理を作っていたこともあって、私の料理のベースには「和」があります。日本人にとってやはり和食はホッとしますし、和の切り口で何か遊べないかな、ということはいつも考えていますね。

―双円のおちょこに盛りつけていた、タコとミニトマトのマリネには、隠し味にしょうゆが入っていましたよね。

ちょっとしょうゆが入ると、ごはんにも合うし、マリネが苦手な方でも食べやすくなるんです。サンドイッチの具材に大葉やミョウガを使うこともありますし、和の食材や調味料でアクセントをつけるのは好きですね。逆に、和食にスパイスやエスニックの調味料を加えることもあります。そうすると、いつもの食材や味付けなんだけど、「あれ?」ってサプライズが生まれるんです。

口径が広いから料理をきれいに盛りつけられる

―おちょこにマリネを盛りつけてくださったのも、私たちにはうれしいサプライズでした。

重箱やかごなど、箱詰めのお料理をよく作るので、双円の「おちょこ」も小鉢のように使うことが多いです。口径が広いので箱に詰めた時に上から見てもきれいですし、底面に対して側面が垂直にスッと立ち上がっているので、箱に入れた時の収まりもいいんですよね。教室でも前菜を入れる器としてよく使っています。

スタッキングできる「おちょこ」って珍しい

―使い方を変えると、酒器としての長所とはまた違った良さが見えてきますね。器を選ぶ時のポイントや条件はありますか?

いろんなお料理のイメージが浮かぶかどうかです。先ほどの和食とスパイスの組み合わせもそうですが、料理においてギャップやサプライズを大切にしているので、たとえば和のお重でもエスニック料理や、パンを詰めてみたいなとか、器から作りたい料理のイメージが広がることは基準の一つです。

あと、お料理が映えるかどうかも大切。主張のある器をアクセントとして使うのも素敵ですが、私は食材の色を活かした料理を作りたいので、白磁やクリアーなガラス、木、黒などのシンプルな器がほとんどですね。

―なるほど。食卓はもちろんですが、食器棚の中も統一感がありますね。

骨董市が好きなので、器も骨董が多いんですが、数が揃わないこともよくあるので、5枚揃えば良しとしています。似たサイズの皿が5枚ずつ2セットあれば、いろいろなバリエーションで使えますから。教室の生徒さんは1回のレッスンで7人ということが多いので、であれば3枚と4枚で2種類を使うことも多いです。

―今日のレッスンでも取り皿が丸と四角でしたよね。

そうそう。全てをお揃いで並べるよりもテーブルが楽しくなりますよね。

「おいしかった」だけで終わらないコツを伝える

―料理人としての経験もありながら、あくまで家庭料理をいかに楽しく美味しく作るかを大切にしていらっしゃるんですね。

完全にレストランの味だと「ああ、おいしかった!ごちそうさま」で終わっちゃうんですよね。でも、簡単なひと手間でそのレベルに近づける分かれば、生徒さんは目の色を変えてレシピをご覧になるので、そういう目線は大切にしています。

たとえば冷製パスタはしっかりとタオルでパスタの水分を拭くことで水っぽさがなくなって、グンとおいしさのレベルが上がります。そういう、家庭料理に取り入れられるプロの技を要所要所で加えると、「同じ材料、同じ時間でこんなにおいしくなりますよ、こんなに楽しくなりますよ」と伝えたくて。

ここにくることで、ふだんの料理を楽しみながらがんばれるきっかけになっていただけるといいな思っています。

 

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POINT

スタッキング可能な「おちょこ」

ガラス同士はもちろんのこと、錫や磁器のおちょこと合わせてもスタッキング可能です。MIX感を楽しみつつも統一感は損なわれない……いづいさんが生み出す食卓とどこかシンパシーを感じます。

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PROFILE

いづい さちこさん

東京・国立で料理教室や食にかかわるイベントを開催する「くにたちの食卓 いづい」を主宰。著書に「続けられるおべんとう」、「箱詰めもてなしレシピ」(ともに誠文堂新光社)。

URL: http://www.kunitachinoshokutaku.com/

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